筋骨格系のオステオパシーは、「骨をボキボキ動かして歪みを直す治療」ではありません。
本質は、骨・関節・筋肉が本来の役割を、無理なく分担できる状態に戻すことです。
私たちの体は、骨が形を作り、関節が動きを許し、筋肉が必要な力を出すことで成り立っています。この三つがうまく協力していれば、体は軽く、長時間動いても疲れにくくなります。しかし現実には、姿勢の癖、仕事や家事の偏った動き、過去のケガ、精神的ストレスなどによって、この分担が崩れていきます。
分担が崩れると、本来あまり頑張らなくていい筋肉が過剰に働き、逆に働くべき筋肉は眠ったままになります。関節は動く範囲を失い、骨は本来とは少し違う方向に力を受け続けます。その結果として、肩こりや腰痛、関節痛、だるさ、動かしにくさが生まれます。重要なのは、痛い場所が原因とは限らないということです。
筋骨格系のオステオパシーで、施術者が最初にするのは「歪みを探すこと」ではありません。
まず見るのは、体がどこで一番無理をしているかです。
たとえば肩が痛い人でも、肩そのものは一生懸命に働いているだけで、問題は背骨や骨盤、あるいは足にあることがよくあります。体はつながっているため、どこかが動かなくなると、別の場所が代わりに頑張ります。痛みとは、頑張りすぎた場所からの「もう限界です」というサインなのです。
プロのオステオパシーでは、無理に骨を正しい位置に戻そうとはしません。なぜなら、体がその位置を選んだ理由が必ずあるからです。防御、代償、過去の経験。理由を無視して力で戻せば、体はさらに固まり、すぐに元に戻ってしまいます。
施術はとても穏やかです。関節の動きを邪魔している緊張を見つけ、そこが「もう力を入れなくていい」と感じられる方向へ、そっと誘導します。すると、関節は自分で動きを思い出し、骨は自然な位置へ戻っていきます。これは矯正ではなく、自己調整の再起動です。
筋肉に対しても同じです。固くなった筋肉を無理にほぐすのではなく、「なぜここが緊張し続けているのか」を体全体のつながりから見ます。多くの場合、その筋肉はサボっている場所を補っているだけです。原因となる制限が取れると、筋肉は驚くほど自然に緩みます。
筋骨格系のオステオパシーで特徴的なのは、施術後に「軽い」「動きやすい」と感じるだけでなく、「立ち方や歩き方が勝手に変わる」ことです。これは意識して姿勢を正しているのではなく、体が無理のない動きを選べるようになった結果です。
また、筋骨格へのアプローチは、血液や神経とも深く関係しています。関節の動きが戻ると血流が改善し、筋肉の回復が早まります。神経の圧迫や過剰な緊張が減ると、力の入れ方が自然になります。そのため、筋骨格の施術だけで、疲労感や睡眠の質が変わる人も少なくありません。
最高の筋骨格系オステオパシーのゴールは、「痛みを取ること」ではありません。
体が、無意識のうちに楽な動きを選べる状態を作ることです。
その状態になると、人は姿勢を気にしなくなります。
ストレッチを頑張らなくても、体は自然に伸び縮みします。
年齢を重ねても、動くことが怖くなくなります。
筋骨格系のオステオパシーは、
体を操作する技術ではなく、
体の協調を取り戻す技術です。
骨が偉くなりすぎず、
筋肉が頑張りすぎず、
関節が我慢しすぎない。
そのバランスが戻ったとき、体は静かに、しかし確実に変わります。
それが、プロのオステオパシー施術者が考える、
最高の筋骨格系に対するオステオパシーです。













