一次呼吸システムについて
一次呼吸とは、頭蓋骨や体全体でみられる規則的な動きです。脳と脊髄は髄膜という三層の膜状の袋で包まれており、この中には脳脊髄液という体液で満たされています。一次呼吸の動きはこの脳脊髄液を循環させる作用があります。
脳脊髄液には、打撃などの外傷を受けた場合、脳や脊髄を守る働きがあります。また、脳や脊髄に栄養を与え、発達を促すという大事な働きもあります。出産後からはじまる肺で行う呼吸を二次呼吸と呼び、これに対して、一次呼吸は出産前のお腹の中にいる頃からすでに始まっています。脳脊髄液が滞りなく流れることが、体の生命機能を高めることに繋がると言われています。
脳と脊髄を包む髄膜は、頭蓋骨から脊柱の一番下にある尾骨まで繋がっています。脊髄神経は脊柱から出ると末梢神経と名前が変わり、手や足に伸びていきます。そして髄膜の最外側にある硬膜は、神経上膜として脊髄神経から出てきた末梢神経を包み、全身に行き渡っています。この事から、髄膜内の脳脊髄液は全身に及んでいるとも言われています。
私たちが過去に経験した身体的、精神的外傷は、体の持つ自己調整、治癒、健康を維持する力を低下させたり、制限することがあります。過去に経験した外傷とは、出産、成長、病気、怪我、事故、手術、精神的なトラウマなどがあり、このような外傷は身体に炎症を引き起こしてしまいます。外傷を受けた場合、生体の恒常性(ホメオスタシス)の働きにより、自らの治癒力をもって体を整えるように働きかけます。しかし、外傷の程度が大きい場合には、体を整えきれず、また、外傷後に起こる炎症は癒着を作ってしまうため、一次呼吸の動きは乱れ、生命力や体液の流れを低下させてしまいます。このような状態が長期化する事は体が病的な変化を起こすきっかけになるのです。
一次呼吸のリズムをよりバランスの取れた状態へ整えることで、自律神経系、中枢神経系、運動器系に作用し、自己調整力、自己治癒力、免疫抵抗力を高めます。体が内面から整い、維持されることで、より一層、健康を維持し、体の不調や病気から体自身で守るようになるのです。
